素の家

  • 「素の家」では木・石・土・鉄などの当りまえの素材を使った当りまえの家を目指します。時間が経っても愛着が増し、長く住み続けられるという価値観で家づくりを考えていて、「経年」により劣化するのではなく「味や良い古さ」につながる自然素材を基本としております。また、素材だけでなく空間についても完成したときがゴールではなく、暮らしのスタートと考えます。時間が経っても暮らしの変化に対応して間仕切りを変えることの出来る家をデザインします。「素の家」は自然素材を使い、内部空間を作り込まず、大空間とすることでローコスト住宅にもなっています。以下に実際の施工プランを基に、「素の家」の基本的なしくみや考え方をご案内いたします。

木造でありながら大空間を実現する

  • 一般的な木造住宅は家の強度を得るために耐力壁という壁が必要です。この壁があるために住宅のプランは細かく区切られてしまいます。「素の家」は家の両側に風呂、トイレなどの水周りや、階段、玄関、収納などを集約し、その周辺に必要な耐力壁を配置することによって、家の真ん中に大空間を作り出しています。

統一モジュールを採用し、

  • 「素の家」では統一モジュール(基準寸法)として910mmの基本モジュールを採用しています。統一モジュールを使うことで外壁や家具の規格に対応しやすく、建築コストを抑えることが可能です。さらに住み始めてからも生活の変化に柔軟に対応し、間仕切りを変えるときなどに有効です。また、構造架構を美しくみせることができます。

環境になじみ時間と共に愛着のわいてくる外観

  • 「素の家」では、外壁の素材を検討する際には、極力二次加工をしない素の材を使うことを考えています。雨や太陽に晒される外壁は必ず汚れます。経年変化に対応するには、汚れにくい材料を採用するか、汚れても表情を変え味となる材料を採用する方法があります。「素の家」ではフェイク材ではなく、本物の素材を使うことを基本にしています。本物は新築の時だけなく、経年変化も受け入れてデザインとなる素材が多いからです。
  • 施工例の住宅では、ガルバリウム鋼板の外壁、屋根材を採用しています。ガルバリウム鋼板とは鉄板をアルミと亜鉛でメッキしたもので、色はシルバーですが、緑の中によく溶け込むデザインです。軽くて耐候性の高い素材であり、構造体に掛ける負担を軽減し、風や太陽光などに長年晒されても優れた耐久性を発揮してくれます。また、角波型に貼ることによって、通気層が広くとれるので、湿気にも強くなります。

深い軒と吹抜けで自然エネルギーをコントロールする

  • 施工例の住宅では、南側に向けて160cmを超える深い軒を設けて、家の中に入ってくる日射量を調整しています。通常、木造では構造的にこれだけ深いひさしを設けることは難しいのですが、ここでは登り梁を採用することで実現しています。太陽高度が高い夏には軒の出によって光が遮断され、高度が低い冬には光は逆に吹抜けを通過して、家の奥まで届くようにしています。「素の家」では敷地のや方角などから検討し、出来る限り、自然エネルギーを取り入れる住宅を目指します。

大きな可動間仕切りで生活にメリハリをつける

  • 施工例の住宅では、団らん室と玄関土間や畳コーナーの仕切りとして1間の長さの障子を設けて、必要に応じて一体に使えたり、閉じることも出来ます。季節や用途によってフレキシブルに空間の関係性を変えることを想定しています。2階についても、将来的に子供の個室が必要になることも想定した構造躯体としています。「素の家」では建物の完成がゴールではなく、暮らしのスタートとして捉えています。

発砲ウレタンフォーム断熱材と蓄熱暖房機で暖かくて健康的な住宅にする

  • 事例の家では発泡ウレタンフォームの断熱材を使っています。この素材はサッシュや構造躯体の隙間に充填することができ、高気密、高断熱性能を有するので、家中の温度差を抑え、省エネ効果も期待できます。また、蓄熱式の暖房機を導入しています。深夜電力でレンガに熱を蓄え、日中に放出する仕組みで、ふく射熱により家全体をまんべんなく温めます。不快なにおいや風が出ないので快適に過ごせます。「素の家」では家族が安心して暮らせる健康住宅であることを第一に考えます。

Jパネルの床で構造を強くして、エコな住宅を実現する

  • 施工事例の家では2階の床にJパネルを採用しています。Jパネルとは国産杉を3層に重ねた36ミリの構造材です。厚みのある床材であり、水平力に非常に強い建物にすることができます。このパネルは仕上げ材も兼ねることができ、さらに1階の天井材も兼ねているため、コストを下げるのにも有効です。
  • スギの無垢材は暖くやわらかく、無垢の心地よさを存分に楽しむことができます。もともとこの材は利用されない大量の間伐材などを有効に活用するという目的のもとに開発されたものであり、Jパネルを使うことは、森を守り環境を守るエコにもつながります。

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